ポンポン船の歴史



 おもちゃのポンポン船はヨーロッパで19世紀末に作られたようです。 1891年にフランス人のトーマス ピオ(Thomas Piot)がイギリスでおもちゃのポンポン船エンジンの特許を取得ています。 右の図は特許につけられたポンポン船の構造です。このときのエンジンはボイラーが三角形をしており、ポンポン船独特の音はしなかったようです。  

1916 年と1926年に、米国のチャールズ マックヒュー(Charles McHugh)がダイアフラム式のエンジンを作って特許を取得しました。 ダイアフラム式のエンジンはエンジンの上部が薄い金属板で出来ていて、この金属板が振動して、ポコポコとポンポン船独特の音を出すのが特徴で、 その人気は急速に広がり、多くの国ですぐに製造されるようになりました。

我が国でも大正時代にはおもちゃとして売り出されていたようです。その後、海外へも盛んに輸出されていたようで、 1933年のアメリカの雑誌に日本製ポンポン船の広告が掲載されています。

ポンポン船は独特の音から名前が付けられたものですが、外国でも 「pop-pop boat」,「put-put」,「phut-phut」,「pouet-pouet」,[toc-toc」というように音から取った愛称で呼ばれています。 また、ボイラーで加熱された蒸気の力で水を噴き出して進むことより、 flash-steamers, hot-air-boats,Pulsating Water Engine (P.W.E.)等とも呼ばれています。

ポンポン船は可愛い音と独特の動きで、多くの子供達に親しまれ、 我が国でも戦前から昭和40年代まではおもちゃ屋や夜店などで売られていていました。 ポンポン船は火を使うため、船体をブリキで作る必要がありますが、 一般のおもちゃがブリキ製からプラスチック製に変わって行くにつれて、ブリキのおもちゃが作られなくなり、 手作りで作らなければならないエンジン部分を作る職人も少なくなって、我が国ではポンポン船は徐々に作られなくなりました。

金属管を使うポンポン船はポンポン船独特のポコポコという音が出ないのですが、構造が簡単で丈夫なので、 ピオが発明して以来作られ続けていたようで、 現在私たちが作っているパイプ式のポンポン船と同じ構造のものが1920年にアメリカで特許申請されています。
しかし、我が国では昭和40年代まではダイアフラム式のポンポン船が主で、 パイプ式のポンポン船はおもちゃ屋さんで売られることはなかったようです。
 ダイアフラム式のポンポン船が姿を消した後、パイプ式のポンポン船は理科の教材として広まり、 今日ではポンポン船の主流はパイプ式のポンポン船になりました。