ダイアフラム式ポンポン船の作り方



 昔、縁日などで売られていたポンポン船はブリキで船体が作られ、エンジンは真鍮製の薄い円形の板を圧着で張り合わせたものです。 走らせるとポコポコという音を出すので、大変楽しいおもちゃですが、昔のエンジンをそのまま再現するには相当熟練した機械工作の技が必要で、 素人の私にはとうてい作れそうにありません。なんとか音の出るポンポン船を作れないものかと考えていたとき、

YUZIさんのホームページ(http://www.eonet.ne.jp/~yuzi/index.htm)で、

昔懐かしいポンポン船のエンジンの作り方を紹介しておられるのに出会い、詳しく作り方を教えていただきました。

YUJIさんは高度な機械工作の技術を駆使しておられるので、私はそのとおりに真似ができなかったのですが、 YUJIさんの作り方をヒントに、私なりに工作機械を使わないで作れるエンジンの作り方を考えました。 パイプ式のポンポン船のように簡単に手作りというわけにはいきませんが、 なんと言っても音の出る昔ながらのポンポン船は魅力的です。皆さんも頑張って作ってみてください。

材料
銅板:厚さ0.5mm 及び 0.1mm をそれぞれ約6×6cm 
  銅管:外径4mm 長さ:26cm
  高温ハンダ(例えば:日本アルミット社の強力万能ハンダ等)
  船体用の発泡スチレントレー(木の板でも良い)、 ローソク(直径1cm前後)

作り方

1.厚さ0.5mmの銅板を金切り用のハサミで直径5.5cmの円形に切り抜きます。

2.切り抜いた円盤に直径4.4cmと裏側に5cmの円をマジックなどで描きます。

3.底の外径が約5cmの清涼飲料水の缶の底部分と飲み口の部分を金切りはさみで切り取ります。

4.清涼飲料水の缶の底を上に向けて置き、その上に1.で切った銅板を5cmの円に合わせて置き、その上に缶の飲み口の部分を直径4.4cmの円に合わせておき、 缶の底と飲み口の部分をプレスの型として、ペンチなどで挟んで銅板に円形の窪みを着けます。

5.窪みが出来たら、ペンチなどを使って直径5cmの円に沿って少しずつ、外向けに曲げて行き、 図のようなお皿の形にします。 このとき一番外側の皿の縁に当たる部分はペンチの平らな部分などに挟んで 出来るだけ平らにしておきます。このお皿の形をした物がボイラーの底になります。

6.お皿の底の部分に4mmの穴を2箇所開けます。

7.26cmの銅管を半分に切って、13cmの長さの銅管を2本作り、 端から3cm付近をガスの炎の上にかざして焼き鈍します。 このとき火傷をしないように銅管はペンチなどで掴んでください。

8.銅管を端から3cmのところでゆっくりとほぼ直角になるまで曲げます。

9.曲げた銅管の短い方の端を皿の底側から穴に差し込み、高温ハンダで半田付けします。 高温ハンダは普通のはんだごてでは溶けにくいので、 私はホームセンターで売っていた使い捨てライターを使ったポケットトーチ(新富士バーナー社製)を使って加熱しました。

10.厚さ0.1mmの銅板を金切り用のハサミで直径5cmの円形に切り抜き、0.5mmの円盤と同様の操作をして直径4.4mmの窪みを作ります。

11.ボイラーの底の部分と9.で作った厚さ0.1mmの円盤を凸部が互いに外になるように合わせて、高温ハンダで接着します。 このとき合わせ目に隙間が出来ないようにゼムクリップなどで固定して、少しずつ慎重に半田付けします。

12.半田付けが全て終われば、エンジン部分を水に浸けて、パイプの端から空気を吹き込んで漏れがないかを確かめます。

13.空気漏れが有ればその部分を再度半田付けして完全に漏れがないようにしてからよく水洗いをしてフラックスを取り除きます。

14.パイプ式ポンポン船の作り方のところで作ったようにして、発泡スチレンのトレーで船体を作ります。 このときこのエンジンはアルミパイプより相当重いので、アルミパイプの場合より1.5〜2倍程度大きめの船を造ります。

15.作った船体にエンジンを乗せて丁度バランスの良い位置を調べ、その位置になるように銅管を船体の裏に通してエンジンを固定します。

16.船が完成すればエンジンに水を満たし、ボイラーの下部へローソクを固定して点火します。 しばらくするとポコポコと音がしてポンポン船は走り出します。

完成したポンポン船

クリックするとポンポン船の動画が見られます。




作り方の補足
・ボイラーの底の部分と上蓋の接着に普通のハンダを使用しても一応製作は可能です。ただし、普通のハンダはローソクの熱で熔解するので、 半田付けした部分に耐熱パテ(セメダイン製)を塗って覆っています。耐熱パテが断熱効果を発揮しているものと思われますが、 強く加熱するとハンダが熔解する可能性があるので、加熱には市販の一番小さいローソクを使って、注意深く加熱する必要があります。 なお、底板とパイプの接着は高温ハンダを使用しなければダメです。


ボイラーのハンダ部分を耐熱パテで覆ったエンジン